株式会社の設立手続に瑕疵がある場合、会社の設立は無効となります。
会社の設立の無効原因となるのは、例えば、定款の絶対的記載事項の記載がないか、記載内容が違法な場合、定款に公証人の認証がない場合、設立時発行株式に関する発行事項について発起人全員の同意がない場合、創立総会の招集がない場合などが考えられます。つまり、会社の設立手続の過程にこのような瑕疵が存在する場合には、一応の会社設立手続が完了したとしても、その会社の設立は無効となります。
しかし、民法の一般原則に従って無効主張又は取消が行われるとすると、会社と関係する当事者の数が多数に及ぶ可能性が高いことから影響が大きすぎるため、会社法では会社の設立無効の主張方法を制限しています。
具体的には、会社設立無効の主張権者は株主・取締役などに限定して、会社成立の日から2年以内に限り、訴えの方法によってのみ無効主張できることとされています。訴えは会社を被告とし、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に提起することになります。
但し、会社設立無効の訴えが提起されたとしても、裁判所はその訴えを権利濫用と判断するとき、瑕疵が極めて軽微なものであると判断するとき、あるいは瑕疵がすでに補完されているため訴えを提起する正当な利益を原告が有しないと判断するときは、請求を棄却できると解されています。
判決の結果、会社設立が無効となった場合には、この判決は訴訟当事者のみならず第三者に対しても効力を有します。しかしながら、取引の安全を考慮して、この会社・株主及び第三者間においてすでに生じた権利義務は、無効判決により影響を受けないものとされています。
反対に判決の結果、会社の設立が有効となった場合には、その判決は訴訟当事者間についてのみ効力を有します。従って、別な当事者が会社設立無効の訴えを別個提起することはできます。
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