株式会社の設立手続に不正などがあった場合、そのような会社が設立されることの影響が大きいため、会社法では発起人などについて以下のような責任規定を置いています。
会社の設立に際して現物出資や財産引受が行われた場合で、その財産の価額が定款に定められた価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は連帯して会社に対して価額補填する義務を負います。但し、発起設立の場合には現物出資などを行った発起人以外の発起人又は設立時取締役が、その職務を行うにつき注意義務違反がなかったことを証明したときにはこの義務を免れます。また、裁判所の選任した検査役の調査を受けた場合にも、同様にこの義務を免れます。
さらに、現物出資などの場合に裁判所の選任した検査役の調査に代わり財産の価額の証明を行った弁護士などについても、価額補填義務があります。これについても同様に注意義務違反がなかったことを証明したときには、この義務を免れます。
このような発起人及び設立時取締役の責任は、総株主の同意がある場合には免除することもできます。
次に、発起人、設立時取締役及び設立時監査役が会社の設立手続において職務を怠ったことにより会社に損害が発生した場合には、連帯して賠償する責任を負います。
以上のような設立する会社に対する責任以外にも、第三者に対して発起人などが責任を負う規定があります。
発起人、設立時取締役及び設立時監査役が会社の設立手続においてその職務を怠ったことにつき悪意・重過失があった場合には、これにより損害を受けた第三者に対して連帯して賠償する責任を負います。
また、設立中の会社が結果的に成立に至らなかった場合には、会社の設立手続の過程として発起人として行った行為から生ずる全ての費用を発起人が負担することになります。
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