会社設立に際して発行する株式の一部のみを発起人が引き受け、残りについては他の引受人を募集する設立形態を「募集設立」といいます。募集する人数が50名以上で、かつ、株式の発行総額が1億円以上の場合には、事前に内閣総理大臣への届出が必要となり、また法定の目論見書を作成しなければなりません。
発起人は、募集設立による場合には募集により引き受けた者に対して発行する株式についての数、払込金額、払込期日などを決定しなければなりません。
また、発起人は募集に対して申込を行う者に対して、定款の記載事項、株式に関する決定事項、払込取扱場所などを通知しなければならず、申込を行う者は、申込人の氏名住所、引き受ける株式の数を記載した書面を発起人に交付しなければなりません。
この申込方法については、従来の商法においては発起人が作成した株式申込証によらなければならないとされていましたが、会社法では発起人の承諾があれば電磁的方法による申込も可能とされました。
申込に対して、発起人は株式の割当てを受ける者及びその割当て株式数を定めなければなりませんが、この割当ては発起人が自由に決定できるとされています。割当てがなされると株式申込人は株式引受人となり、割当てられた株式に応じた払込義務を負います。
このような株式の申込、割当て、引き受けについては会社設立手続の重要な過程であることから法的保護の必要性が高いため、株式の申込については民法上の心裡留保による無効規定(但書、本心とは異なる場合に無効となるケース)、通謀虚偽表示による無効規定(本心でないことを当事者双方がわかっている場合に無効となるケース)の適用はありません。また、株式引受人が創立総会において議決権を行使した後は、民法上の錯誤による無効規定(錯誤があった場合に無効となるケース)、詐欺・強迫による取消規定(詐欺又は強迫による場合には取り消すことができるケース)の適用もありません。
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