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【株式会社の設立手続−発起設立A】

発起人は、定款に関する公証人の認証を受けた後、遅滞なく変態設立事項(現物出資や財産引受などのことです)を調査させるため、検査役の選任を裁判所に申し立てなければなりません。裁判所に選任された検査役は、例えば現物出資の財産の価額の妥当性などを調査し、これを裁判所に報告します。その結果、裁判所が不当と認めた場合には、これを変更する決定を行わなければなりません。
このように、例えば現物出資により会社を設立する場合には、原則として裁判所の選任した検査役の調査を受けなければならず、この手続きには費用と時間を要します。この制度趣旨は、ある意味で特殊な会社設立形態となる変態設立事項について不当な結果が生じないように担保するというものですが、この検査役の調査を一律適用すると会社の設立形態についての柔軟性機動性を事実上阻害してしまうおそれもあります。
そこで、会社法では例外的に一定の要件を満たす場合には、裁判所の選任した検査役の調査を省略できることとされています。
検査役の調査を受けなくともよいのは、次の特則に該当する場合です。
@現物出資および財産引受の目的たる財産の定款に定めた価額の総額が500万円を超えないとき
A上記財産が市場価格のある有価証券であって、定款に定めた価額がその市場価格を超えないとき
B定款に定められた上記財産の価額が相当であることについて、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人(公認会計士の法人です)、税理士または税理士法人の証明を受けた場合(財産が不動産である場合には、さらに不動産鑑定士の鑑定評価も必要)
また、会社設立手続において、発起人は出資の履行が完了した後に、遅滞なく設立時取締役その他設立時役員を選任しなければなりません。これらの設立時役員の選任は、発起人の議決権の過半数により決定します。
この設立時取締役などは、設立の手続が法令定款に違反していないことなどを調査しなければなりません。そして調査の結果、法令定款違反の事実を把握した場合には、発起人にその旨通知しなければなりません。そのような報告を受けた発起人は、必要な是正措置を講ずることになります。