【株式会社(概論)】

会社組織の中でも、最も一般的に広く知られている形態が「株式会社」です。
その「株式会社」の基本的な特徴として挙げられるのが、株式と株主の有限責任です。

株式とは、株式会社の出資者たる社員の地位をいいます。株主権ともいいます。また、この株式を有している者のことを株主といいます。
株式会社における株式は、均一的に細分化されています。細分化されているのは、株式会社という会社形態の本来的な目的が、多数の者が会社に参加できるようにすることで大規模な経営形態を可能とすることにあるからで、そのためには少ない資金からでも容易に出資することができるようにする必要があるからです。均一化されているのは、そのように多数の者が参加するために、その社員間の問題を簡単・画一的に処理できるようにするためです。
株式(株主権)を有することによる具体的な権利としては、株主総会における議決権行使による経営参加権や配当請求権、残余財産分配請求権などの経済的な権利があります。

次に株主の有限責任とは、株主は会社に対してその有する株式の引受価額を限度とする責任を負うのみで、それ以外には何らの責任も負わないことをいいます。
例えば、会社が倒産に瀕する場合でも、株主は出資した金額が無価値になるだけで会社に対して追加出資義務を負うことはなく、また銀行などの会社債権者に対して何らの支払い義務も負わないこととなります。
ちなみに実務上、中小企業においては同一人が株主=会社経営者=銀行借入の連帯保証人ということが珍しくありません。経営破綻などのケースでは、銀行から会社だけではなく個人としても返済を求められることがありますが、これは株主としての返済義務ではなくあくまで連帯保証人としての返済義務を負っているに過ぎません。もし連帯保証人になっていなかったとしたら、株主としては何らの責任も追及されることはありません。